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いいまちにまなぶ

地域づくりを日々学び中

山田朝夫『流しの公務員の冒険』

 

流しの公務員の冒険 ―霞が関から現場への旅―

流しの公務員の冒険 ―霞が関から現場への旅―

 

友達に勧められて、『流しの公務員の冒険』を読みました。読む前は「またワークショップで住民参加、みたいなありきたりな本なんだろな」と思っていましたが、全くそんなことはなく、端から端まで学ぶことばかりでした。

霞が関を捨てたキャリア官僚は腕一本で町や市を渡り歩く行政の職人「流しの公務員」になった。仕事は問題解決!累積債務を抱え「死人病院」と呼ばれていた市民病院を新築、再建。町を二分したバイパスルート路線問題を全員一致で解決する。仕切る会議はショーのように面白く、議論は白熱。住民も議員も設計士も医師も看護師も巻き込み、事態を変えていく。権威にもトップダウンにも頼らない、新しいリーダーシップ。仕事観が変わる!必読の実践記録!

いまでこそワークショップ的手法は氾濫していますが、著者の山田さんが取り組みを始めたのは1990年代。まだ情報の少ない時代の先駆者だったからこそ、言葉の重みが違うなと思いました。特に自分の役割を「地域実践家」と呼んで、「みなさんにやってもらいながらも、抜け落ちている部分がある。そこを後ろから行って、そっと埋める」と書いている部分が印象に残っています。

また、「いい物語をイメージできるようにする」といった人を巻き込む工夫についても、目から鱗でした。良い意味で官僚的でなく、住民が愛着を持てるような政策を生み出す、という姿勢は勉強になります。

最後に、総務省の官僚でありながら、自治体の現場で働き続けた自分の生き方を「大きくて複雑な問題を解決するには、組織が必要です。組織の中にいながら組織から自由でいられるか?「流しの公務員」はその実験でもあります。」とまとめた著者の山田さん。大きな組織を”利用”しながら挑戦を続ける働き方として、官僚のみならず多くの人にとって刺激になる本だな、と感じました。ぜひ。